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  水虫  爪水虫  蕁麻疹   ニキビ  アトピー性皮膚炎   イボ
  乾癬  帯状疱疹  主婦湿疹(手湿疹)   とびひ  日光湿疹



水虫
水虫とは、白癬菌というカビの一種が皮膚の角質に住み付いて起こる病気です。白癬菌はとくにジメジメした場所を好み、角質のケラチンという蛋白質を栄養として繁殖します。水虫のかゆみは、この白癬菌が繁殖する時に作り出す代謝産物の刺激が原因です。

○治療には薬を少なくても朝夕2回丁寧にすり込むように塗ります。白癬菌は症状の出ている所だけでなく周囲にも広がっている場合があります。現在症状の出ている患部だけでなく周囲にも薬を塗る事が大切です。また薬を塗っていて、症状が消えても、その後少なくても一ヵ月は根気よく薬を塗って下さい。皮膚の奥深く白癬菌が生き残っていると再発の原因となります。
毎年水虫がおこるという方は、症状が消えたからと塗るのを止めてしまったため、白癬菌が完全に死滅せず、奥深く潜伏しており、翌年、暖かくなってきて居心地が良くなってきたら活動を始めるためです。
◎ポツポツと小さな水ぶくれが出来たり皮がむけたりするから水虫とは限りません。当院では顕微鏡で検査し菌を確認してから適切な薬を出しております。目視だけで菌がいるのかどうかは、その後の判断を間違います。
水虫と判断されたら
・毎日石けんで丁寧に洗いましょう。
・風呂場の足ふきマット、タオル、スリッパなど じかに水虫の足と接触するものは他の人との共 用は避けましょう。
・足は出来るだけ乾いた状態に保ち、蒸れないよ うにしましょう。靴下は木綿など通気性の良い 素材を使用すると良いでしょう。
・時間があれば、出来るだけ直射日光に当てて乾 かしましょう。
注:水虫は手足に出るとは限りません。水虫の菌がついた手で顔や胸などいろんなところに触れると条件がよければそこで発症します。顔がかゆいから湿疹などと決め付けず専門医に見せましょう



爪水虫
白癬菌が爪に入り込んだ結果、爪が白くにごって厚くなったりボロボロ崩れてきます。治療は、硬い爪が邪魔をして塗り薬では爪の中の白癬菌まで浸透しにくいため、飲み薬が効果的です。飲み薬は内側から白癬菌に届き、治していきます。

◎1日3回飲む薬、1日1回飲む薬、短い間飲んだあと日にちをおき再度飲むことをくりかえす薬と色々あります。患者さんと相談の上処方します。



蕁麻疹
突然、皮膚の一部がかゆくなって赤く腫れ20分もすれば消えていく病気です。食物、薬剤、物理的刺激(接触、日光、機械的刺激、寒冷、運動)など特定の刺激によっておこるタイプと、決まった刺激がわからないままに出没するタイプがあります。この病気は血液中に蕁麻疹をおこす物質が流れていると考えられます。この物質は皮膚の肥満細胞と血液中の好塩基球(白血球の一種)に働いてヒスタミンを放出させる作用をします。この結果、かゆみやむくみがおこります。反応する相手により3つに分けられます。
1つ目は食物や薬のような対外からの侵入物に対する反応(古典的なアレルギー)でlgEという抗体が原因です。
2つ目は自分の体成分に対するアレルギー(自己アレルギー)で、日光に当たって皮膚内にできるアレルゲンと反応する日光蕁麻疹、自分の汗と反応するコリン性蕁麻疹などがあります。この場合もlgE抗体が原因です。
3つ目は肥満細胞表面を直接攻撃する抗体(自己抗体)が想定されます。これまでには肥満細胞の表面にあるlgEに対する抗体だけしか証明されていません。慢性蕁麻疹、機械性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹にはこのような物質が見つかります。この抗体はlgEだけでなくlgG<lgMなどであるとされています。

○治療としては抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を服用します。薬は基本的には症状を抑えるだけですので、結局は自分の力でアレルギー症状がなくなるまで、すなわち蕁麻疹をおこす物質が血液中からなくなるまで辛抱しなければなりません。薬の効果は症状が激しい時は効きが悪い時がありますが、症状が落ち着いてくるにしたがって効きがよくなり、次第に必要な薬の量も少なくなります。

・かかないようにしましょう。かくと発疹が広がり益々かゆみが増します。(かゆみを止める薬もあります)
・温まらないようにしましょう。温まると蕁麻疹が出やすくなります。(寒冷蕁麻疹を除く)スポーツは体温を上昇させるので避けます。
・カレー、わさび、唐辛子など刺激の強い食べ物は避けましょう。
・精神的ストレスが原因となることもあります。人間関係を良好に保ちましょう。
・原因が特定されたら、その原因は避けましょう。(薬、食べ物、刺激、動物など)



ニキビ
ニキビは尋常性座瘡という皮膚の病気です。原因として1、性ホルモン 2、毛穴の出口が角化してつまる 3、ニキビ菌の繁殖 4、炎症 があげられます。ニキビ菌は毛穴につまった皮脂をもとに炎症を起こす物質をつくります。ひどくなると膿をもち、放置して重症になるとあばたを残し一生消えないので専門医の指導によるコントロールが必要です。

○治療としては症状により飲み薬と塗り薬を処方します。抗生物質(化膿している場合)や炎症を抑える薬、皮脂の分泌を抑える薬、漢方薬など等、症状により最適な治療を致します。
・一日に数回ぬるま湯で石鹸を使って丁寧に洗顔しましょう。
・気にしてやたらと触ったり、つぶしたりしてはいけません。
・便秘をしないよう食事に気をつけましょう。
・ケーキやチョコレート、カレー、コーヒーなど糖分や脂肪、刺激物などは控えましょう。
・赤くなったニキビ、中が硬くなったニキビ、化膿したニキビとそれぞれ薬が違います。医師の指示に従って適切に使いましょう。

◎下記のものはニキビに似た皮膚炎でニキビではありません。
・酒さ・・・毛細血管の拡張が目立ち、進行するとニキビ様の丘疹(ぶつぶつ)を伴う。
・脂漏性皮膚炎・・・髪の生え際や鼻のまわりに出来やすい、りんせつ(ふけ様のもの)を伴った淡紅色の発疹。丘疹はできない。
・顔面播種状粟粒性狼瘡・・・まぶたに出来やすい丘疹主体。あとが残りやすい。
・集ぞく性座瘡・・・ニキビより症状が激しく大型のものが、顔、首、胸、肩などに出来てなおりにくい。



アトピー性皮膚炎

特有の症状
かつてアトピー性皮膚炎は乳幼児の皮膚炎といわれていました。最近は成人しても治らない、あるいは大人になってから発症する成人型のアトピー性皮膚炎が増加してきています。特有の症状は、赤ちゃんでは顔に、年長児になると首、肩、肘、膝、足首など曲がり角に目立ち、耳の付け根に耳切れができる子供も沢山います。身体はかさかさと乾いています。年齢で症状が変わってきます。

どうしてなるの?
・もともと乾燥しやすく敏感な皮膚の表面がカサカサしてしまったり、こすられたりして僅かな傷がつきます。そこから湿疹の原因となる物質が入る事が引き金となって始まります。痒いので掻きこわすともっと原因物質が入りやすくなるのです。
・汗や掻破などの刺激により炎症をおこし、ダニ、ハウスダスト、細菌、真菌などによるアレルギー反応が加わって悪化します。
・ストレスも考えられます。


治療のコツは?
・原因は複雑に絡み合っているので原因療法は容易でありません。そのため基本的には皮膚炎の抑制を第一とした治療を行います。現在、有効性と安全性の面から使われているのがステロイド外用剤や免疫抑制外用剤です。皮膚の乾燥を防いだり、バリアー機能を保つために保湿剤なども用いられます。
・抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は外用療法の補助療法としてかゆみなどを抑える事を目的として使用します。
・清潔にし、乾燥は禁物ですからしっとりさせることが原則です。つけると直ぐ治るからと強い薬をつけたり、素人の勝手な民間療法はその後悪化させることになりますので、その時、その時にあった適切な治療を医師と共に気長に続ける事が肝心です。

薬の上手な塗り方
・塗るときは、湿疹やかぶれの部分をきれいにしてから塗りましょう。
・沢山塗っても効き目は同じです。少量を優しく塗りこみましょう。
・塗る回数は、薬や症状によって変わります。症状のひどい時は少量を回数多く塗り、症状が良くなれば回数を減らしていきます。

かゆみを軽くする方法
・肌着は木綿で肌触りの良いものにしましょう。
・厚着しすぎは汗でかゆくなります。
・おふろではゴシゴシは禁物です。タオルや手のひらで優しく洗いましょう。
・家のホコリは悪化のもとです。掃除は念入りにカーペットには気をつけましょう。
・犬、猫、鳥などのペットは原因となっている場合が多いので飼うのは我慢しましょう。
・毎日お風呂かシャワーに入り、清潔にし、そして湯上りに塗り薬を優しく塗りましょう。  

◎症状が良くなっても悪くなっても、勝手に薬をつけず、その時々の適切な薬を処方してもらう事が肝心です。専門の病院にはそれぞれの場合にあった薬があります。



イボ
「イボ」とは皮膚の表面から盛り上がる小さなできもの全般に対して用いられる俗称です。患者さんが「イボ」と診断されているものには皮膚科医からみると診断名の異なる色々な皮膚病が含まれていて、なかには皮膚の悪性腫瘍のこともたまにあります。一度皮膚科に行き正しい診断を受けておく事をお勧めします。

○一番多いのはウィルス感染によるイボです。「ヒト乳頭腫ウィルス」というウィルスが皮膚に感染してできます。乳首みたいに見える腫瘍(乳頭腫)をつくるウィルスなのでこのような名前がついています。皮膚はからだの一番外側にあり、私達をウィルスや細菌などの感染から守るバリアーとなっています。小さな傷ができてこのバリアーが壊れると「ヒト乳頭腫ウィルス」がそこから入り込んで皮膚の細胞に感染すると考えられています。感染した細胞がどんどん増えて皮膚の表面が盛り上がってきたものが「イボ」の正体です。顔や腕などにできやすいのは、こういう場所の皮膚がすれたりして傷つきやすいからだと考えられています。尖圭コンジロームが性行為でうつる性病の1つだということも知っておきましょう。

○治療として、当院では主に「液体窒素」で治療しております。少量の時は痛み止めの注射をうち電気焼灼機つで「イボ」を電気的に焼いて治療する方法も用います。漢方薬でヨクイニンという薬を処方することもあります。症状をみて、患者さんと相談の上納得のいく治療をします。



乾癬

乾癬とは皮膚が炎症をおこして赤くなって盛り上がり、それとともに表面がカサカサと乾燥し白いフケのようなものが付着しポロポロとはがれ落ちる病気です。ウィルスや細菌によるものではないので、周りの人にうつる心配はありません。しかし原因がまだはっきりしておらず、根本的な治療法方がありません。良くなったり悪くなったりを繰り返す経過の長い病気です。

◎ 一般的にはステロイドの軟膏やクリームを塗り、症状を抑える外用療法や内服療法、光線療法などがあります。

 ・風邪等の感染症にかからないよう注意しましょう
 ・皮膚への刺激の少ない衣服を身に着けましょう
 ・ストレスをためないようにスポーツなどで気分転換をしましょう
 ・カロリーの低い食事をし、刺激の強い食べ物やアルコールは控えましょう
 ・睡眠はたっぷりとり、規則正しい生活をしましょう
 ・毎日入浴し清潔にしましょう。ただしこすり過ぎないように。
 ・冬場に悪化しますので、保湿剤などで乾燥を防ぎましょう。
 ・日光に当たることで良くなることが多いので日光浴を心がけましょう



帯状疱疹
顔や胸から背中、お腹などの左右どちらかに生じるチクチクとした痛みからはじまり、やがて赤いボツボツが出来、小さな水ぶくれの集合になり痛みは強まります。その後、水ぶくれが黄色くなり(膿疱)、約1か月ほどでかさぶたが取れて治っていきます。潰瘍や瘢痕になる場合もあります。
原因は子供の頃によくかかる水ぼうそうと同じウィルスです。水ぼうそうが治ったあと、体の中から消滅せず、全身に分布している神経のどこかにひっそりと潜伏しています。そして大人になって疲れやケガ、老化などをきっかけに再活性化すると帯状疱疹が発症します。ウィルスは神経を伝わって広がり、水ぶくれも神経に沿って片側だけ帯のようになる事が多いので帯状疱疹といわれています。

◎抗ウィルス薬や鎮痛剤、ビタミン剤を処方します(抗ウィルス剤は早期投与が必須です)

・普通の大人にはうつりませんが、まだ水疱瘡に かかっていない子供や妊婦、病人に対しては注 意が必要です。
・水ぶくれが破れると細菌感染をおこす可能性  があるのでつぶさないように
・目の角膜に出来て視力低下したり、まれに髄  膜炎や脳炎を起こす事があるので医師の診察  受けましょう
・高齢者や三叉神経領域の帯状疱疹は重症にな  ることが多く、治った後、神経痛へ移行する  事が多いのですが、帯状疱疹後神経痛に対し  ては絶対的な治療方法はありません。内服薬  の鎮痛剤や安定剤で様子をます。冷やすことは 良くなく、カイロなどで暖める方が有効です。 寒い季節にひどく痛んだり、眠れないほどの痛 みが続くときはペインクリニックで神経ブロッ クをすることもありますが、最後の手段として 検討に値します。
 


主婦湿疹
主婦湿疹は家事に従事する主婦の手、特に指背、手背、指の裏側に発赤、腫脹、丘疹、角化などの症状を呈する疾患です。家事による機械的、化学的刺激(洗剤や石鹸)が原因で発症します。手袋のゴムによるアレルギー性皮膚炎が合併している事もあります。進行性指掌角化症(主婦湿疹の乾燥型)は主に指腹面の皮膚が乾燥し、亀裂による疼痛を伴います。病変が手のひらに及ぶ事もあり、水仕事の多い主婦によく発症します。秋の終わりから冬季に悪くなり夏季は軽快する傾向があります。水を使う職業の男性(調理人、美容師、理容師など)にも発症する事があり、ゴム手袋をして防止するが、ゴムのアレルギー反応を防ぐためゴム手袋の下に薄手の綿手袋をはめて使ったほうがよい。水仕事の多い人、洗濯やふき掃除の回数が多い人ほど症状が重い。
○治療はステロイド軟膏をごく少量、手を洗ったときなどにこまめに塗ります
○手を良く洗い、尿素軟膏などの保湿剤やビタミンA含有軟膏を塗って手を保護する
○洗剤の使用濃度を守る
○アレルギー体質の人はゴム手袋を使用し、下に綿手袋をはめる


☆とびひ


「伝染性膿痂疹」というのが正式な名称で通称「とびひ」と呼ばれています。
乳幼児や学童期の子供が虫さされやアセモ、アトピー性皮膚炎などで痒くて掻いているうちに皮膚がむけて水疱になりあちこちに広がっていきます。伝染力は強く、保育園や幼稚園などで集団発生も良く見られます。
治療は抗生物質の内服と外用によりますが、ほんの初期なら外用の抗生物質の軟膏で治まる場合もあります。
日常の注意は、入浴やシャワーで皮膚の清潔を保つことが一番で、食事などで体のバランスを保つことも大切です。
簡単にドラッグストアーなどで薬を買ってきて治療していると、かえってひどくなる場合がありますし、人に感染させる病気ですので、早めに専門的治療を受けましょう。


☆日光湿疹

普通「日光湿疹」といっていますが、光線による過敏症が原因で、厳密に言うと次のように分類できます。
・日光蕁麻疹
 日光に当ると急に蕁麻疹が生じ痒くなります。
・光線性接触皮膚炎
 香料や光感受性物質、薬剤、植物などが皮膚に つき、その後、日光に当たり皮膚炎になります
・光線過敏型薬疹
 降圧利尿剤、消炎鎮痛剤、向精神薬、抗ガン剤 等などの薬を内服していて、その後、日光に当 って湿疹が出 来ます
・多形日光疹
 日光の当たる所に小さな丘疹が多発し、強い痒 みがあります

帽子や肌を露出しないような衣服、サンスクリーン等での遮光が大切ですが、専門医に相談して対策や治療に当ることが良いでしょう。